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竹の間 : 記録室
▲竹の間へようこそ▲ 家主=黒間玄元:bv
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松と梅の間の番外論議の部屋でしたが
今は「お笑い道場」になってます。
楽しいジョークやギャグ、粋なアスキーアート、
諧謔味のある書き込みをどうぞ。
島流しリンクは近々改装致します。
家主は当サイトの開設&管理者もやっております。
「性と死のホームページ」
http://www.mumyouan.com/index.html
★ 投稿記録室です。ここでは新しい投稿が下になっています。★
[1861]
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●「自分自身を変えるしかない」という【当たり前の事】について●
by:
ほ う ざん
2002/01/03(Thu)10:23
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●正月早々、ヘビーな話題でもしてみたいと思います。
瞑想と「今の瞬間に在る」ということで、
関係するかもしれないことで、
参考になるかもしれない実話を書いておきます。
昨年の暮れの出来事でした。
●師走というのは、変な事がよくあるもので、
つい数日前、ある親から
「子供が大量の睡眠薬を飲んだらしい」と
連絡があり、私がかけつけるハメになりました。
●私はその子の専属のカウンセラーでもなんでも
ありませんが、
前から、子供の問題で困ったことがあると、
その親(あるいは本人)から相談を受けることが
あったもので、そんな縁でした。
●また、そこの子供も、不良で、
親にはなつかないのですが、
私には、なついているようでしたので。
ちょっと、顔が、「大食い選手権」のタケル君に似ていて、
いい青年なのですがね。歳は17歳。
●で、その子が睡眠薬を大量に飲んで自殺を図った、
との電話を受けて夜中に、かけつけたのですが、
かけつけたときには、既に30分以上が経過していた。
●しかし、妙なもので、普通なら、
死ぬか生きるかの問題なわけで、緊迫しているはずだし、
普通なら、1秒でも早く救急車を呼ぶのが筋なのですが、
私は、どういうわけか、全く危機感というものを
その場にほとんど感じませんでした。
●そればかりか、この騒ぎがその子供にとっては、
非常に大切な事(自分を見つめるチャンス)なのだと
全く何の根拠もなく強く直感してしまいまして、
私は、もしも万一の事があったら、
その全責任を引き受ける覚悟で、
「救急車呼ばないでください」とその親に言いました。
●なにしろ、これで、もしも彼が死んだら、
自殺未遂者に対する医学的な処置を怠ったり、
重大な判断ミスをしたということで、
法律的には、彼の死は、私のせいになりますからね。
自分の直感に対して信頼する覚悟はしました。
●それで、私が着いたときには、
彼はトイレで自分で吐いていました。
確認したら、飲んだものは、睡眠薬ではなくて、
風邪薬を約120錠でした。
私が背中をさすると共に、
大量の、薄い塩水と真水を交互に飲ませては、
吐かせるということが、延々と40回は続きました。
●30分の間に、その120錠の薬のうちの
かなりの量が、胃液で融けて吸収され始めていたので、
確実に危険な状態であるとは言えました。
そして薬臭い胃液、色のついた胃液が出なくなくなるまで
には、結局は、10時間を要しました。
飲ませた水は約3リットル以上、
嘔吐の回数は、50回以上です。
彼も私もトイレもゲロまみれでしたよ。
●そして幸いにして、
10時間が経過して、翌日の朝、彼は
ようやく、全部吐き出しました。
しかし胃の中を吐き出しても、
すでに体には薬が回っているので、
眠ると、ひどいめまいがするようなので、
朝まで、彼は夜中中、坐って過ごしました。
●ただ、私が見ていて、
これはもう大丈夫だと確信したので
吐かせながらも、胃を保護するために、
牛乳とかジュースも飲ませました。
しばらく、するとそれも嘔吐しましたが、
とにかく、嘔吐を繰り返すのが一番いいと思いました。
●結果から言いますと、
むろん、彼は生きていますし、
今では、体調も戻ったのですが、
この自殺未遂が、幸いにして睡眠薬ではなく、
風邪薬だったことやその他の条件が重なって、
10時間におよぶ「嘔吐」というものが、計らずして、
そのまま、まさに「今に在る」という瞑想になってしまった
というのが、この話の結末となります。
●もしも医学的な処置だけをするならば、
それは、むろんすぐに病院に連れてくのが正しいでしょう。
しかし、私には、理由は分かりませんが、
とにかく、「これでいい。自分の力で吐かせることが必要」と
感じていたので、私は彼に飲み水を渡すことと、
背中や胃をマッサージすることに徹しました。
刺激をしたくないので、親には、
トイレから離れていてもらいました。
●まー、さすがに10時間も他人の背中に触れていると、
いろいろと分かることがあります。
この少年(17歳だと青年?)の場合は、
今までにも自殺未遂はしたらしいが、
その自殺の理由が、とにかく、
いろいろな事を「他人のせいにする」という傾向がありました。
前に、この掲示板に書きましたが、
これと同じような傾向の少女に会ったことがあるのですが、
やはり、両者に共通しているのは、
自分の虚無感や不幸の原因を、
特定の他人や、親や、育った環境のせいにするという点ですね。
●しかし、この嘔吐は、彼には大きな瞑想となりました。
むろん、彼は瞑想などしたことはありません。
しかし、「苦痛が明確な意識をもって長時間継続する」ということは、
それ自体が、どんな半端な瞑想よりも瞑想となるケースが多い。
この場合には、いくつもの条件が揃っていたからであるが、
たとえばその条件とは、
1/飲んだものが、睡眠薬でなく風邪薬だったこと。
このせいで、彼は眠ることも出来ずに、めまいと吐き気の
苦痛と延々と向き合わなくてはならなくなった。
もしも睡眠薬だと眠ったまま死ぬ可能性がある。
2/病院ならもっと早く処置が済んだだろうが、
そこに、長い時間をかけるプロセスがあったこと。
何十回も水を飲んでは吐くことの繰り返し。
こうなると、日頃だと彼は理屈っぽいのですが、
もう理屈をこねる暇などない。文句を言う暇もない。
あまりの嘔吐の繰り返しで、
自分の不幸を誰かのせいにも出来ない。
今現在ある、そのめまいと吐き気だけが
彼の意識のほとんどを支配している。
●おそらく、彼はこれほどの長時間、眠ることも出来ず、
気絶することも出来ず、ほとんど思考できないままで、
のたうったことはないはずであった。
もしも病院なら、胃の洗浄作業は、もっと早いだろう。
また鎮静剤や睡眠薬もくれるだろう。点滴もしてくれるだろう。
しかし、この私が相手では、そういうものはないのである。
●おそらく、彼は、今までのどんな生よりも、
今の瞬間に、無思考で、嘔吐という行為にのみ集中せざるを
得なかった事だろう。しかも、休まずに10時間もの間です。
●私は、嘔吐させながら思った。
彼が今までの記憶の癖や思考や、
さらにいえば、業や前世の因縁といったものを、
今このチャンスに吐き出さなかったら、
もうめったにこんなチャンスはない。
だから、ここで吐き出させよう。
●そう思って、私は、彼の頭のてっぺんや、
頭のいろいろな場所をさすったり、
胸や喉の内部にある「気」を吐き出させようとした。
不思議なもので、嘔吐を手伝うには、
普通は、背中をさするのですが、
私はそれよりも、気を送るほうがいいと思い、
特に喉の後と頭全体を、ほんの軽くこすったりしました。
すると、背中をこするよりも、大量の嘔吐をするのでした。
●はっきり言って、急性薬物中毒の介護というよりは、
まるで、陰陽師でしたよ。
口から出る嘔吐物に交じって、いろいろな
溜まっていた黒や灰色の邪気が大量に出ていました。
まさに、これが彼には、
心身から吐き出す行為になったわれけです。
●こんなぐあいに、
彼は、自分が飲んだ薬を、自分の力で吐き出す行為を
したわけであり、また、そのプロセスでは、
理屈を言うことも出来ず、
不快で苦痛な感覚に嫌でも釘付けにされ、
しかも、眠気もこないまま、
はっきりと自分の状態を意識しなければならなかった。
●そして、その苦痛からは、言い訳へ逃げたり、
寝て逃げたり、死んだりして逃げることも出来ない状態であった。
そして、このことが、彼には、自覚への大きな助けとなった。
あまりにもひどい苦痛に長時間向かい合うと、
人は、逃避できる抜け道がある場合には、
自殺に逃避するか、さもなければ別の活動に逃避するのですが、
もはや、何にも逃避できない場合には、
その苦痛の真っ只中において、
苦痛の本質から自分を切り離すという、
自然発生的な本当の瞑想が起きることがある。
●たとえば、「今の瞬間にいよう」、
「しっかり今ここにに瞑想しよう」とすること、
これは、「意志と関係のない自然な覚醒」ではない。
確かにこれは、「宗教的な観念」ではないが、
しかし、明かに思考と苦痛の記憶が、
その結果として作り出した「価値観」に基づく、瞑想である。
つまり、「瞑想に価値を感じている」という状態自体が、
全く瞑想にはなっていないわけです。
●しかし、瞑想がいいから、とか、瞑想が救いになるから
だの、瞑想は正しいワークで、自分に必要だから、
などという事を全く知りもしない人間が、
意図せずに、的確な瞑想状態にあることの方が、
現実には、遥かに多いのも事実である。
●たとえば、この少年の場合には、
1/横になって目を瞑ると、目が回って気持ち悪いので、
10時間あまり、目をつむらずに坐っていた。
10時間も苦痛の中で、横たわらずに坐るという事自体が
珍しいのである。
2/あれほどの嘔吐の中では、人はよけいなことは考えられない。
そして、これを「瞑想を知らない人間がやっている」という事が
重要な点である。もしも彼がこを知ってやっていたら、
単なるカルト教団のヨガごっこ、身体的な洗浄ごっこなわけでして、
そんな行為には、なんらの変化への可能性はないのです。
●また通常でも、病気や事故などの結果として、
何十時間も苦痛にさらされる人は、世の中に多くいます。
だからといって、誰もがそこで変化できるわけではありません。
●彼の場合に、非常に重要だったのが、
10時間の絶え間なく意識的な嘔吐の行為自体もそうなのですが、
そのあとで、彼が眠りたいのに眠れないと言ったときに、
私がやらせた「頭頂留意」という技法でした。
むろん、ご周知の通り、これはEO師の死人禅の技法です。
●めまいがひどくて、横になると逆に寝られない、
というケースだったので、
苦痛を軽減して、睡眠に入るには「頭頂留意」の技法が
一番いいと判断して、
私は、彼の頭のてっぺんを指でこすってあげて、
その位置を彼に教え、
あとは、「彼自身が自主的に意識を向けるように」しました。
●それから、ほんの数分後に、彼は眠りにつきました。
あとで、起きてから彼が言うには、
「どんな事をしても、びといめまいと吐き気から楽になれなかったけど、
頭のてっぺんに意識をむけたら、すごく楽になって、やっと眠れた」
という事でした。
●そして、その眠りの間に何が起きたのかは分かりませんが、
そして、その日。彼が眠りから醒めてから、
数日かけて、彼の大きな変化が始まりました。
明かに、彼の顔つきは、前とは、違っていました。
彼にとっては、10時間の嘔吐は、
人の10年分の瞑想にも勝る瞑想になったようでした。
むろん、すべての自殺志願者が、そこで何かに気付くという
わけではないので、自殺未遂そのものが瞑想的なのではありません。
そうではなく、逃げられない苦痛、
または逃げられない至福に人が無力に「釘付けにされる」
という事が、瞑想の本質であるということです。
●ようは、今この瞬間に、「一本化」されるのは、
苦痛でも至福でもどちらでもよくて、
それが「本人の努力でしがみついているのではなく」、
本人が、努力やら、言い訳やら、社会的な理屈やら、
意図的な瞑想行為を捨てなければならない
そういった、無抵抗の状態、それが瞑想の本質だということです。
●その中から、発生する意識状態というものは、
注意をはらってする瞑想ではなく、
「瞑想している主体の全く存在しない」、
ただの「純粋瞑想状態」と呼ばれるものですから。
●
●この事件は、彼にとっては、ひとつの大きな転機となりつつあります。
まだ、私はその過程を見ているので、はっきりとしたことは
言えません。
しかし、その日を境に、彼は、自分の中に起きる感情の暴走
というものを、客観的に観測する地点を得たようです。
●そういった意識は、普通ですと、長い年月をかけて、
瞑想や座禅や生活の中の瞑想で培うものなのですが、
長時間苦痛と向かい合ったこと、そして、嘔吐と一緒に、
自我を形成する思考のリンクをも吐き出すという、
「象徴的な行為」とが重なって、
今、彼の中には、自然に、
自分の人格と観察者の間の距離が形成されつつあるようです。
●不機嫌になったり、イライラしたり、落ち込む原因を
いつでも、何でも、誰か他人のせいにし続けてきた彼が、
最近では、自分自身のせいでもある、という事に
やっと自覚が出てきた面もあります。
●私は彼に言いました。
「もしも、将来、
これから、君に嫌な気分が起きたときに、
君の気分を悪くした他人を変える事でしか、
君の機嫌が直らないのだとしたら、
それは地獄の人生になることだろう。
なぜならば、君の気分を害する者など、
どこへ行っても必ず現れる。
君から見ていたら、間違った人間に出会う方が
遥かに多いだろう。
誰かが君の機嫌を元に戻しても、
その誰かとは別の者が君を不機嫌にするだろう。
もしも5人の人間が君を不機嫌にしたら、
君は、5人もの人間を、自分の思う通りに変えなければ、
君は、安心できないという事になってしまう。
気に食わない者、自分より間違っていたり、劣っている者に
腹を立てて、自分の不機嫌の原因を彼らに押し付けたところで、
そんな事を繰り返していたら、君の人生は、
ただの「戦争の連続」「頭の中が戦場そのもの」にすぎなくなる。
そんな事に、君の時間と、感情と、思考を費やすことは
全くの無駄だよ。
●君自身が、自分の感情や思考の暴走を停止できれば、
相手を変える必要などは全くなく、
たとえ相手がそのまま一生変わらなくとも、
君は安心した状態で生きられるのだから。」
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