自然葬 Q&A

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方斬氏に手紙で寄せられた質問や、掲示板からピックアップした 質疑応答集です。 * 新しいものが下に追加されていきます。

MIN 私も自然葬にしたいです。それもぜひそちらに書かれていた間接鳥葬にし たいのですが、今までに自然葬をやって誰かから訴えられたりしたケース というのはあるのでしょうか?

方斬より この「失敗の実例」というのには、私もすごく興味があります。 まだ文献を詳しくは調べていませんが、国内や外国でも、いくつか実例が あるはずだと思います。 たとえば自然葬の市民団体とかは自然葬の実際のレポートを会の機関紙に 掲載していますが、当然のこととして、彼らは絶対に失敗例というものを 書きません。彼らは社会から反対されないように注意してやっていますの で、そういう会での報告の中には失敗例はありません。 しかし、私はこの失敗談こそが実はマニュアルとして最も優れたものだと 思っています。「自然葬がうまくいった、ちゃんとできた」という称賛の 記事ばかりでなく、「こんな散骨をしたら文句を言われてしまった」とか いう実例も少しは必要だと思います。というのも、そういう失敗談を聞け ば、「なるほど、これだけはやめた方がいいんだ」、という注意点が理解 しやすいからです。 しかし、かといって、あなたがその実例になってはいけませんので、 散骨にはくれぐれも注意してください。 注意点は、まとめれば以下のように簡単な事です。 1:無断で他人の私有地に散灰しない。つまり、極端に言えば燃えないゴ ミだと思ってください。遺族にとってはどんなに大切な遺灰でも、他人に とっては単なる「不気味な廃棄物」なのですから。 2:故人の親族の了解を得ること。そして故人の『生前の意志』を尊重する。 散灰そのものは合法でも、古い考えの家族ですと、無断でやると文句を言 われます。散灰した行為そのものの事では訴えられませんが、家族の伝統 的な「家風を傷つけた」という訴えられ方になるかもしれませんので。 3:自然葬のアピールの為に、マスコミに公開する、というような、 よほどの必要がない限りは、完全に目立たないようにやる事です。 とても変なたとえですが、自然に無害なゴミをひっそりと捨てる、という 感覚でいいです。 むろん、セレモニーをしたい場合には、遺族が散骨の場所で、喪服を着て、 お経をあげたり、歌ったり、何をしてもいいのですが、 私の意見としては、そういう弔いの儀式は、 遺族が遺骨や遺灰を囲んで、『どこか別の場所』でやっておき、 散灰するときは、ただ散灰だけをして、他は何もしないことです。 4:遺骨は必ず3ミリ以下の骨紛状にする事。このサイトに書かれた通り に、数回に渡って「ふるい」にかけながら砕けば、非常に細かくて、 きれいな粒状になります。

GONTA 骨を墓や墓地に納骨しないで、砕いて散骨するという方法だと、 祟りなどはおきないのでしょうか?

方斬より 逆に、私からあなたに質問しますが、あなたが住んでいるその家、 あなたの職場、そしてあなたが毎日歩いている道、 あなたが恋人とSEXをして過ごすホテルや、あなたが楽しげに 食事をするレストラン・・・このいずれの土地の地下にも、 『膨大な量の人骨や動物たちの骨』があるという事実を、あなたは一体 どう考えるのでしょうか?。 もしも紀元前の年代から換算したら、そういう事になるのですから。 それでなくとも、縄文時代から戦国時代、そして最近の戦時中の空襲で、 無数の骨が地下にあります。そんな事を言っていたら、阪神淡路大震災 によって神戸の一角は「呪われた土地になった」という事になって しまいます。しかしそんな事はありません。 心霊学的な推測や持論を持ち出して、あれやこれやと「骨の扱い方」に ついて言う人達はいますが、「骨そのものに祟りの原因は全くない」と いうのが本質的な洞察ではないでしょうか?。 仮に骨の近くで異常現象が起きたとしても、それは骨のせいではなく、 その場所に埋まった故人が非業の死を遂げた事による「無念の想念」が 原因のはずです。 逆に言えば、手厚く葬られたり、別に恨む相手もなく死んだ人ならば、 骨がどこに放置されようが、どこに散骨されようが、化けて出る理由が そもそも全くありません。(本人の趣味で化けるかもしれませんが) あとは「昔の墓を荒らすと祟る」などと言われていますが、 これも墓にある「骨そのもの」のせいではなく、昔の人は(今の若い人 でもいるでしょうが)、死んだら魂は自分の先祖の墓を「集いの場」に するという認識(つまり思い込み)で生きてきて、そのまま死ぬために 死後、その通りに墓の近辺をうろついてしまうのかもしれません。 ですから、骨そのものに問題があるのではなく、故人にどういう 「いきさつ」があったかとか「心の面でどういう葬られ方をしたのか」 というのが、化けて出るだの祟るという場合の原因の多くのようです。 つまり物理的にどういう葬儀をしたかの問題ではないと思われます。

GONTA でも阪神大震災で下敷きになって焼け死んだ人は、非業の死を遂げた事 にはならないのでしょうか?

方斬 自然災害に不意打ちを食らって死を遂げることと誰かを恨んで死ぬのは 違います。それに私は心霊現象には、いつも素朴で本質的な疑問がある。 それは、化けて出る「有効期限は、何年なのか?」という事である。 というのも、類人猿や縄文人の格好をした幽霊の話はほとんど聞かない。 なぜか、平家の亡霊とか「特定のある時代以後」の幽霊が出るのである。 となれば、おそらくは霊界の規則か何かで、例えば、化けて出られるのも 1000年まで・・・などと期限付きだと考えるのが妥当である。 そういう点では、いちいち有史以前からの膨大な数の、死人たちの 『無念の主張』などに耳を傾けていたら、きりがなくなってしまう。 それに、人間たちが頭を冷やして考えるべきことは、 そもそも、墓など立てて、そこに遺骨や遺体を集めて神妙に埋葬する事 それ自体が、「自然界に失礼ではないか?」という点だ。 人間というものは、いいかげんなもので、自分が食べたフライドチキン の骨をなんとも思わないでゴミに捨てる。しかし、あれはまぎれもなく 生命があった生き物の骨だ。ところがそれが人間の骨に変わっただけで まるで気違いのごとく、人間は態度が変わる。 だが人間の骨だけが、一体何が「特別」なのか?という、 その根拠とやらを、私は聞いて見たいものだ。 それだけではない。大地とは、そもそも死骸の山である。 動物だけじゃない。微生物の死骸もある。そうしたものに人間は生命の 尊厳だの全く感じていない。 人間が大口たたいて言う生命の尊厳とは、いつでも「自分たち人間の」 生命だったり、見かけが「可愛い」と、「勝手に人間が思っている」 哺乳類や動物や爬虫類や魚類の尊厳の事ばかりだ。人間には、自分たちの 『食用生物に対する尊厳』などは、これっぽっちもありはしないのだ。 動物保護団体や環境保護団体の者たちは、やるならば同時に昆虫保護も やるべきであり、スズメ蜂やゴキブリやシロアリも殺すなと言いたい。 ****************** 話は全く違うが余談になるが、東京の大手町のオフィス街に『将門の首塚』 があるのはご存知の通りだ。撤去しようとした者が多く死んで(中には 単に、後で歳とって死んだ場合も多い)、そのせいで、オフィスのデスク も首塚に背を向けないでいるらしい。 おまけにあそこに行くと、いかにも病的な墓守りのじいさんが、 ご丁寧に、毎日、般若心経のお経をあげている。 ところが、私が行って感じ取ったかぎりでは、 首塚に人間の恨みが全く感じられない。 私は、冬の寒いある日、薄暗くなってからあそこの墓の前に座って座禅 をしたことがあるが、ニコニコするぐらいに、心が休まる穏やかな場所 だった。確かに地中には深いブラックホールのような次元の穴があるが、 それ自体は、なんら人に危害を及ぼすものではない。 では、何が問題なのかと意識でサーチしたところ、 結局、あそこは将門(まさかど)個人の念に関係するものではなく、 むしろ『風水的な拠点として、絶対に動かしてはならない』という事だ。 そういう場所では、その場の地形構造を変えようとすれば、 誰かの恨みを買うのではなく、風水の力で反発を食らうと考えた方がいい。 それがたまたま、祟りのように思われるだけである。 だから、何も手をつけなければ、別に般若心経など唱える必要もなく、 弔う必要もない。ただ、そっとそのままにしておけばいいのだ。

ARALE 自然葬とは関係ない事ですが、方斬さんは、お通夜も本葬もしなかったと いう事ですが、そういうお葬式って、そっけなくて、なんだか寂しくあり ませんでしたか?

方斬 そういう問題は、遺族と故人がどういう関係、あるいは最期の状態であっ たによって変わる問題で、一般論にできるものではありません。 ある日、呼び出されて、突然に身内や親友や恋人が病院で死体となってい たら、それは通夜でもう少し顔を見ていたいと思う事もあるでしょう。 しかし、私の母は担当医から意識不明の危篤状態である事を最初に告げら れました。また高齢なので手術が出来ない事と、助かる見込みが全くない ことから、ただ脳内出血が進行して脳が死ぬのを待つ状態でした。 翌日までの30時間の間は、私は母の耳元に話しかけたり、手を握ってい ました。その間に、もう心の準備は出来ていましたから、 実際の臨終の際も、ただそれを静かに受け入れるだけでした。 そして、死体が病院の安置室に運ばれた時、まず私が最初に考えたことは、 「これから急激に、腐敗してゆくんだ」という事でした。 私の目には、息を引き取るまでは母は存在していても、 息を引き取った母の亡骸というものは、単なる肉に見えました。 「ここからは自然法則にしたがって、腐敗が始まるのだ」・・・と。 それに、季節も8月の初旬で、暑かったこともあります。だから、 私が考えたのは、とにかく、早く処置をしなければという事でした。 そういうわけで、亡骸にまだ何かが生きていると考える人や、 亡骸でもいいから、もう少し見ていたいという心情の人の場合は、 通夜や葬式を行って、故人のそばにいるのも別に悪くはないとは思います。 ただ、どんなに幻想を持っても、亡骸とはただの肉であることは事実です。 ところで、私個人の考えにすぎませんが。死亡した遺体には何もいません。 死亡した瞬間、あるいは場合によっては、人工呼吸で生きていても、 既に肉体を離れている事も多いようでした。 本当の死の線引きは、どうも医学的な死とは違うようです。 脳死なのか、呼吸停止なのか、心臓停止なのか、という問題では、 呼吸と心臓は何十分も停止していても生き返る事もあるので、死の線引き にはならないようです。また、脳死も厳密にはあてになりません。 私の母は、医学的な臨終を告げられる数時間前に急激に頭頂部のあたりの 空気が数十秒だけ熱くなったのを覚えています。 死の瞬間に、人間はいつ体から抜け出すのかと、私はずっと、注意して母 の頭の上に手を添えていましたので、その瞬間が分かりました。 それは、心臓が停止する数時間も前の出来事でした。 さて、亡骸に対する最も自然な態度は、たとえば動物たちのケースです。 私の近所で、からすの子供が巣から落ちたことがありました。 親鳥は、何日も上空を飛び回り、鳴き続け、近寄る者を威嚇していました。 ところが、死んだ瞬間から、親鳥は何事もなかったように、死んだ子供に は無関心になりました。彼らは、子供が生きている限りは精一杯の注意を 払いますが、死んだら、あっという間に見捨てます。 動物の種類によっては、このあたりの執着度に多少の違いはあるでしょう が、ほとんどの動物は亡骸には無執着です。 どこかの母猿が、死んだ子供の猿をミイラになっても引きずり回し続けて いた話は有名ですが、あれはたしか、保護区域の中で人間の観察下にあっ た猿です。つまり、たとえただの観測者という立場でも、人間の目がそこ に関係すると、動物も人間のように屈折した執着心に汚染されるという ことです。 動物というのは、人間が飼えばだんだん、不自然な行動や病気になるもの ですが、ただ、見ているだけの人間のその視線によっても、汚染されると いう点は、あまり知られていないようです。

方斬 直接に葬儀の費用を安くする事とは関係ありませんが、 ちょっと言い忘れたことがありました。 中には棺桶まで「自分で作りたい」という人もいますが、 たいていの場合、死亡というのは突然に起きるものですから、 そこまでの準備は、急にすぐには出来ないと思います。 ただし、葬儀費のうち「骨壷」を安くする方法のひとつに、 「漬物用の壷」を使うという手があります。葬儀社に骨壷を頼むと一万円 前後ですが、漬物用だとその半値ぐらいになると思います。 ただし、私は費用を安くするためだけに言っているのではありません。 墓に納骨する場合は何も問題はないのですが、自然葬の場合は骨壷が不要 になるのです。おまけに骨壷というのはデザインもすごく悪くて、いらな くなっても、他のことに使えないものなのです。私はしょうがないので、 空になった母の骨壷は、名前を洗い落として「米びつ」に使っています。 ちなみに骨壷に書かれた名前は、洗剤やアルコールなどを使わなくても、 金ダワシでこすれば簡単にすぐに落ちます。 このように、自然葬では、あとで骨壷がいらなくなるので、どうせならば、 あとあとでも使えるようなものを選ぶ方がいいのです。 使用後も「何か別のことに使える壷(または花瓶)」を用意するのが一番 いいと思いますね。自分や家族で自然葬を予定している人は、陶芸点など で探してみて下さい。

うさこ 埋葬場所がなかなかみつからずに5年もお骨で持っていた故人を、 海葬などの自然葬にしたいと考えているのですが、砕骨や船の手配等の サービスを提供している業者を探しています。2社ほどみつかったのですが、 もっと比較検討したいと思っていますので、業者をご存知の方、 またはそのような情報が得られるようなサイトやオフラインの情報センター等、 アドバイスをいただければ幸いです。 散骨は前から考えていたのですが、どうしたらいいのかわからなかったのですが、 先日インターネットであまり期待せずに検索したところ情報が得られて目から うろこが落ちました。 よろしくお願いします。

方斬 こちらではこのサイトに書いた以上の事はわかりません。 リンクのページにある「葬儀屋さんにひとこと言いたい」という掲示板で きいて見て下さい。


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監修・執筆:鈴木方斬(すずきほうざん)

HP開設者:黒間玄元(くろまのりゆき)
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